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Murga

個人的に言いたいコト・主張・気持ち。

「上司に言われたことをやるだけマン」への対策

上司に言われたことを字面どおりやろうとするヤツ。後輩として見てきた連中のうち、自分と同い年だったヤツ以外の全員がコレだった。

「指示待ち人間」とか「自分がない」とか、揶揄する言葉はいっぱいあるけど、もう少し原因と対策を考えてみたい。

何を指示されたか分かっていない

上司の指示を、文言どおり、一語一句忠実に守ろうとするようなヤツは、まず指示されている内容に関する知識が全く足りていない。「何を指示されているのか分からないけど、分からないとは言いづらいし、指示内容を一語一句たりとも間違えなければ多分大丈夫だろう」とか、そんな考えなのである。

しかし上司も全ての作業を正確に言語化して伝えることもないので、上司の発言だけをインプットにしていると、上司の期待どおりの成果は出せない。

一語一句守ろうとするヤツに限って日本語力が乏しいので、そもそも言われたことを再現しきれてもいない。日本語すらままならないくせに指示されたことを守れていると思い込んでやがる。まず「自分は日本語を理解できている」なんて思うのを止めろ。指示も日本語も、何一つ理解できていないのだ。

「上司に指示されたから」は理由にならない

指示されたことをやって、結果をチェックされて、「何でこんなことになっちゃってんの?」と言われ、「上司が○○と言ったから自分はこうした」とか、「その点については上司から指示がなかったから独断でやった」とか答える後輩が多かった。

指示する人間の指示が下手クソなことも確かにあるが、じゃあ指示者に確認を取ったのか、というと、100% 取っていない。「言われたとおりにした」ことが、自分の正当性を主張する根拠になると思っているのである。

当然、「上司がこう指示したから」なんて、理由にならないのである。

お前は上司に「あいつを殺せ」と言われたら殺すのか?ってことだ。それとこれとは、同じ話なのである。

「あいつを殺せ」という指示なら、恐らく「そんなことできませんよ。犯罪ですし、仮にやったとして、バレた時は私も上司も困りますし」などと、「自分が思う」「やらない理由」「やってはいけない理由」を言えるはずだ。

仕事における上司からの指示も同じように、「自分が」「どのように」「それをやるのか」が、自分自身の理由として落とし込めている必要がある。指示の下に動いているかもしれないが、作業しているのは上司ではなくあなただ。責任の所在はあなたにも多分にあるワケだ。成果物に対する責任は、上司だけのものではない。

じゃあ、そもそも自分がやりたくもない仕事を振られているのに、どうやってそれを「自分の考え」に落とし込むのか、ということが、次に話す「目的意識」になってくる。

目的を考えると疑問が出てくる → 疑問点は聞く

例えば「これ A3 両面でコピーして1つにホチキス留めして10部用意しといて」と複数の資料を渡された時、

  • 両面印刷時の裏面は逆向きにした方が良いのか、しない方が良いのか
  • 資料の順番はどういう順番が良いのか
  • 実はホチキス留めしない方が読みやすいのではないか
  • 10部だけ印刷すれば本当に足りるのか

といった疑問は沸かないだろうか?

まったく沸かないのであれば、恐らくあなたは「目的意識」が足りていない。よく言葉だけは言われるかもしれないが、そもそも「目的」とはどういうことか、よくよく考えるべきだ。

「目的」とは、何らかの行動によって得たい結果・効果、のことである。そして、上司の指示には、何か目的があるのである。さらに平たく言うと、指示によって行われた結果によって、上司は何かを得たいと考えているワケである。

「想像力が足りない」と表現することもできるかもしれないが、じゃあ何を想像するのかというと、上司がコピーされた資料を手に持って、何をしようとしているのか、を想像する必要があるワケだ。それはつまり目的意識というワケだ。

先程の例でいえば、以下のようなことを考えられるはずだ。

  • 上司は自分に、資料をコピーしてもらいたがっている。何でだろう?何のためにだろう?まず資料をコピーする目的を考える。
  • 資料の中身なり、上司のスケジュールなりを確認することで、その資料を使う会議の内容や、資料を見せる相手が類推できる。ココではどうやら顧客への提案資料だ、とする。
  • となると、上司はその資料を使って、顧客に提案内容を受け入れて欲しいものだ、と推測できる (提案資料を断られたい場面はあまりないだろう)。念のためこの資料の目的は、上司に確認をとっておくと間違いないだろう。
  • 顧客へ提案することが目的なら、資料の順番はこういう方が良いだろうな、と推測ができる。ただし、ここでの推測はあくまでも個人的な主観に基づく推測だ上司の思惑と擦り合わせておいた方が、上司の意図する効果を得られるだろう。
  • ところで、渡された資料の原本を見ると、2枚を並べて置くことで1つの図になるページがある。ということは、ホチキス留めは縦向きで、両面印刷の設定は「裏面を逆向きにしない」の方が良さそうだ。
  • 待てよ、その後のこのページの構成は横向きだから、これはまとめて全てホチキス留めすると読みづらくなるなぁ。そうしたら、クリップ留めにするか、資料を前半と後半とで分けてホチキス留めする方が良いだろうか?上司に確認を取っておこう。
  • そうそう、上司のスケジュールで見た会議情報からすると、参加者は全部で10人だったけど、この部署の担当者であるあの人が入ってなかったなぁ。資料の内容からするに、あの人も関わりそうなのになぁ。念のため1部多く印刷しておくか、聞いておこうかな。

この辺は指示を聞きながら即座に考えられると良いが、目的は作業に取り掛かる前に考えて終えておくこと。

そして、太字にした箇所から分かるとおり、これらの思考過程は全て個人的な主観であり、独断と偏見が多分に混じっている。つまり、「自分はこうした方が良いと思った」と、「上司はこうして欲しかった」が合っているかどうか確認できていない状態なのである。だから、これらは疑問点・もしくは指示に反するかもしれないが提案として、上司に伝えるのである。

先程の太字部分を会話でヒアリングしたとする。

  • 「先輩、先程指示された資料のコピーなのですが、この資料って午後の打合せでお客さんに○○を提案する資料ですよね?」「そうだ」
  • 「ということだと、資料の順番って、B → A → C の方が良いですかね」「あ、いや、B の資料は金額が載ってるから、概要が載っている A から先にしてくれ」
  • 「なるほど、分かりました。では、A → C → B の順にしますね。それで、A の資料の3ページ目と4ページ目が1つの図なので、縦に合わせようと思っているのですが、」「そこは、そのとおりだな」
  • 「B の資料は横向きに合わせないといけなさそうじゃないですか。」「ん、そうだな…」
  • 「これだと、1つにまとめてホチキス留めすると向きが見づらくなると思うんです」「確かにそうだな、そしたら B だけ別紙で2つにホチキス留めしてくれ」
  • 「分かりました。では、A と C で縦向き、B で横向きに、別々にホチキス留めしますね。ところで、この会議って○○さんは来ないのですか?」「あ、そうそう、○○さんは予定表に入っていないけど、来るかもしれないんだよ」
  • 「そしたら○○さん分のために1部余分に、11部で印刷しておきますね」

…このように話すと、資料を使う目的が確認できた。そしてその目的に照らし合わせたときに、資料の順番は上司の思惑に沿っていなかったが、ホチキス留めは2つに分けた方が良いことが分かった。たかが資料のコピーだけでも、スムーズに目的を果たせるようにする工夫ができるのだ。

で、上司との会話の中で太字にした部分だが、上司の発言は口頭で曖昧な表現も混じっているのに対し、指示を復唱した側の発言はより正確に全体の順序や数字を含ませている。これが相手との意思疎通を図る大事なポイントで、相手が発言した言葉をオウム返しするのではなく、自分の言葉にして言い直すことが大事なのだ。「自分はこのように理解しましたよ (間違っていたらツッコんでくださいね)」というアピールのために、相手が言った言い回しとは違う伝え方をするのである。

ここまで考えて確認をとってから仕事をすれば、先程のような「上司がそう言ったから」なんて、もはや理由にしなくなるだろう。なぜ資料をこの順番にしたかといえば、「顧客への提案のために概要→詳細→金額の順番にしたのだ」と答えられるし、なぜ当初の指示と違い、ホチキス留めが2種類になっているのかといえば、「中の資料の向きから2つに分けた方が見やすいと判断したから」であり、なぜ資料が11部あるのかといえば「会議招集リストにはない○○さんが出席する可能性があったから」である。そしてこれらは全て「上司と認識合わせをして、合意を取った理由」なので、「勝手なことをするな」と言われることもないし、当初の指示内容と結果が異なっていることも問題にはならないだろう。

目的を意識すると自分の仕事が減る

先程の例だと、上司に質問したがために、ホチキス留めの手間は増えるし、印刷部数は増えるし、自分の作業が増えるだけではないか?だったら言われたとおりにやっているだけの方が楽できるのでは?と思うかもしれない。が、それは目先の個人的な仕事量しか見られていない。

渡されたまま何も考えずにただ印刷とホチキス留めだけして、順番もグチャグチャ、中の図はバラけていて読めない。こんな資料を上司に渡したら、その場で「おいおい、順番が滅茶苦茶じゃないか、3~4ページの向きは揃えてくれよ」とやり直しを命じられる。言われた順番に直して、3~4ページ目の向きを揃えて印刷したら今度は「3~4ページ目は縦向きにホチキス留めしてくれよ」などと指示になかった指摘を食らい、ホチキス留めの向きを直すと「11~12ページ目は横向きの方がいいなぁ、やっぱ資料2つに分けて」と言われ、そうやってできた資料10部を提出すると、会議中に電話がかかってきて「○○さんが来たから、今から追加で1部印刷して持ってきてくれる?」なんて言われる。

最初に上司に2・3個質問をして、それで分かった追加情報を盛り込んでコピーしておけば、やり直しを何回もしたり、追加で作業依頼が来たりすることもない。上司の手間が減ると必然的に部下である自分の仕事も減るのだ。

指示される人間が持つべき考え方

ココまでのまとめ。

「上司の指示を守ること」は目的ではない。上司の指示は完璧ではない。

なぜ指示されたのか、上司はこの指示によって何を得られると嬉しいのか、上司が指示してきた目的を考える。目的とはつまり先々のこと。先のことを推測して先回りしようと試みる。

ただし、独断で作業内容を変更するのではなく、必ず上司に確認を取る。そして確認時はオウム返しで指示内容を復唱するのではなく、理解し咀嚼した内容を自分の言葉で話すことで、自分の理解を深めながら相手に理解したことを伝え、合意形成をする。

目的を考え、目的のために先回りして手を打っておくと、やり直しも追加作業もなくなるから、1回で楽に成果があげられる。上司には「気が利くねぇ」と言われ、早く帰れる。スバラシイ!

指示する側の注意点

ココまで、「指示された側が上手いこと情報を拾い上げて、指示した人間の都合の良いように動け」ということを書いてきたワケだが、上司が楽に、部下に指示を伝える方法も考えたい。

初めに何回か指示を出して、提出された結果を見ることで、「こいつ字面どおり受け取るマンだ…」「指示されたことしかできないマンだ…」と見極めることは容易にできると思う。見極めた後、指示する側がどう指示の仕方を変えるか、だ。

だいたい、指示待ち人間が生まれるのは指示者の指示の仕方が悪いからだ。「コイツ何言ってんのか全然分かんねえんだよなぁ、もう字面どおりやるしかねえわ」と思われていたり、「このクソ上司、後出しでやっぱこうしてとか言ってくるのが多すぎんだよなぁ。最初にまとめて言えっつーの。どうせ最初に頑張っても無駄だし、1回目は適当にやっといて、追加指摘を待つとするか…」なんて思われているから、部下が指示待ちになるのだ。「何やっても褒められないもんなぁ」とか「雑用係として扱われてるんだよなぁ」と思わせたら、もう終わりだ。上司としての素質がない。

あなたが「部下に指示するとはどういうことか」を考えられない無能な上司ではないとして、じゃあ指示待ちな部下をどうやったら改善できるか、を、今も部下であり、先輩上司でもある自分が思うことを書いてみる。

  • はじめに、「上司が指示するのは作業の方針までであり、具体的な作業方法や細かなポイントは指示された側が自分で創意工夫するもの」という指示の範囲を伝えておき、「指示されたことはお前が考えることだぞ」という意識だったり、「何か必ず1つの『正解』があるワケではないぞ」を共有しておく。
  • 指示とともに、作業の目的や背景・経緯を伝える。これにより、「なぜその作業をする必要があるのか」「その作業をすることでどうしたいのか」という目的意識を共有する。
  • 指示とともに、成果物の形や粒度を伝える。これにより、「成果物に最低限含んでおかないといけない内容」だったり、「指示した人に任せる範囲」を擦り合わせておく。
  • 「○○のこと、分かってる?」といった聞き方で相手の知識量を測ろうとするのは上手くいかない。相手はバカなので知らないことも知っているつもりになっているので「はい」と言うに決まっている。
  • 相手の理解度を確認するには、「指示内容を自分の言葉で言い直してみてくれる?」と言う。本人がメモを取っていたら、そのメモを見ながら言わせて良いが (というか指示される人間は必ずメモ取れよ?!)、指示者の発言をそのまま書き取ったメモをただ読み上げているだけだと判断したら、「俺はそういう言い方したけど、それってどういうことだと思っている?」などと、新しい表現・言い回しが出てくるように仕向ける。
  • 相手の認識に間違いがあったら正しい内容で指摘する。知識も応用力もない人間に「考えてごらん?」と言っても全く効果はないので、「正解 (最適解・最善の方法) はこうなんだ、なぜならこういう理由だからだ、だからコッチは間違い (バッドプラクティス・劣った方法) なんだ」を何回か聞かせることで、「正解」の方向性を認識させる。

作業の目的や背景、成果物の形や粒度については、指示された側が引き出す必要のあるモノとして、前に述べたところと重なる。相手の理解度を図るために自分なりの言い方をさせる、というところも前述の立場を逆転させただけだ。要するに求められるエッセンスはこのあたりに集約できる、ということだ。

で、指示者の注意点としては、理解度を図るのに「分かってる?」は禁句だし、指示者の中に「正解」が存在するものに関して「考えてごらん?」とか言うことも禁止。バカでもプライドは一人前にあるので、分かってなくても分かってるフリをするし、エスパーでもないのに自分が思っていることを読み取らせるようなことは無理。そういう方向での「自分で考えること」は何の能力も養えない。

上司が指示する時に出すべき情報は、「正確なインプット」と「大まかなアウトプット」である。目的ややるべきことは正確に細かく伝える。アウトプットのために間に何を掛け合わせたりするか、とか、アウトプットの細かな部分については、部下が「自分で考えること」である。「何を外したらいけないか」ぐらいの最低限のアウトプットは、考えさせるのではなく、サッサと指示するのである。

ついでに言うと、上司は作業依頼によって他のタスクに影響が出ないようにしなくてはいけないので、「作業の目的・背景 (インプット)」「成果物の形や粒度 (アウトプット)」を伝えると同時に、「作業の優先順位」と「期限」を伝えよう。部下ならこの情報も引き出しておこう。スケジュール感から成果物の粒度が決まる部分もあるので、必ず伝えるようにしたい。

以上

部下であるあなた … 指示待ち人間の方が、苦労する割に質が悪い。相手がどうしたいのかを相手から引き出して、時には「指示どおりにしない方が良いのでは?」と提案できる方が、結果的に楽できるし、早く帰れるし、気が利くと評価してもらえる。

上司であるあなた … 部下を指示待ち人間にしているのはあなたに原因がある。作業の目的や背景、成果物の形や粒度は時間がかかっても正確に伝える。細かい部分は部下に任せ、余計な追加指摘をしない (追加指摘をしたくなるなら成果物の条件に組み込んでおく)。「分かってる?」とか「考えてごらん?」とかいう部下への一方的な期待は独りよがりで無駄な行為なので、サッサと自分の考え・意図・目的を伝え共有する方が効果がある。